クリスマス…聖なる夜の物語



古都は、色とりどりのイルミネーションに包まれ光り輝いている。

土師はそんな街を1人歩いていた。

そして、昔のことを思い出していた。

古都から遠く離れた神聖都市アウグスタを土師は歩いてた。

この街もやはりクリスマスということもあり古都ほどではないがイルミネーションが輝いている。

通りをゆっくりとあるき目的地である教会を目指す。


「ちょっと早く来すぎてしまったか…」


腕にはめた時計を見てそう言う。

しかし、外は雪が降り始め寒さが増している。


寒さに勝てずに教会のドアをくぐった。

教会内はキャンドルに火がともされ優しい光と温かな雰囲気。

人はまばらではあるが座っている。

土師は、前の方のいすに腰掛けシルクの黒いマフラーをはずし、ひざに置いた。



それから徐々に人が増えはじめ、家族連れや恋人達で教会内はいっぱいになったころに教会の聖歌隊の演奏が始まった。

子供達の可愛い歌声や混声の綺麗な歌声が教会にこだまし、土師だけでなく教会内にいる人はそれに聞き入っていた。

その歌も終り、祈りを捧げて教会を後にする人が増えてきた。

土師はその列に並ぶ事なくいすに座り教会の像を見つめていた。


「土師!!」


そこへ1
人の女性が声をかけてきた。


「来てくれたんだね、ありがとう〜」


真っ白な服をきた女性は聖歌隊の一員だろう。


「お誘いを受けたのに、こないわけがないでしょう」


女性は土師の横に座りありがとうとお礼を述べる。


「でも、来てくれないかと思ったの。ほら、ここ教会だし。」


そう土師は聖職者…ではあるが追放天使という一面もあるのだ。


「いえいえ、かまいませんよ。あなたからのお誘いです。教会へ来る事などなんともありません。」


そうは言っているが土師は今まで教会に近づく事…ましては入る事など無いに等しかった。

彼女はその事を知っていたのだ。


「ありがとう、土師」


だから改めてそうお礼を述べる。


「まぁ、本当に久々ですここへ来るのはね」

「…よし、歌も終わったことだし違うところに行きましょう。そう、教会の前の広場はイルミネーションが綺麗なのよ!」


土師があまりここにいたくないことはその表情を見ればよくわかったので、彼に外に行こうと誘う。


「…来るときにも少し見ましたがとても綺麗でしたよ。では見に行きましょうか」


彼女の考えを察したのか優しい笑みをこぼし土師は立ち上がった。


「しかし、その格好でいくのですか?」


彼女は聖歌隊がきる白いマントのような服のままである。


「あ…そのままなの忘れてた。すぐに着替えてくる!」

「分かりました。教会の前で待っていますよ。」


彼女は教会の奥へと急いで走っていた。

土師はそれを見届けマフラーをし、外へと出た。


(彼女に気を使わせるなど、私もまだまだですね…)


苦笑しながらそんなことを考えていると教会の前で売っているアウグスタ名物のキャンドルが目に入った。

アウグスタのではカラフルなキャンドルを生産している。


(そういえば、クリスマスプレゼント何も用意してませんでしたね…)


土師はキャンドル売りに近づきクリスマスツリーの絵がかれたアロマキャンドルをいくつか購入した。


「はい、おにーさん。彼女へのプレゼントかい?」


キャンドル売りのおばあさんにそう聞かれ

あぁ、そうなんだと少し照れながら答えると

なら、サービスだよと真っ赤なリボンをキャンドルをいれた袋に付けてくれた。


「ありがとう、喜びます。」


土師はお礼を述べ教会の入り口に戻る。

そこへちょうど彼女が走ってやってきた。


「お待たせ!」


彼女は走ったせいか頬を赤く染めている。


「ぜんぜん待っていませんので大丈夫ですよ」


それじゃあ行こうかと歩き出す彼女の後ろを土師はついていく。


「そんなに急ぐとこけますよ」


(キャンドルはイルミネーションを見ながら渡しましょうか)


2人はキャンドルやイルミネーションの優しい光が輝く町並みに消えていった。


「懐かしい思い出ですね…」

ふとクリスマスツリーの前で立ち止まり

「キャンドルでも買って帰りましょうかね」


クリスマス…聖なる夜の一つの物語。